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家族の距離


タイトル:家族の距離
担当:松本 綾子
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私の母は、私が小さい頃から何度か入院&手術を繰り返し、最後に入院したのは確か…、私がすでに社会人になっていた頃。

手術の数日前、田舎の祖母(母の母親)と電話でしゃべっていると、おもむろに「あの子のこと、よろしくお願いします」と言われました。

正直、とても動揺し、ショックでした。

母の入院で不安な私は、祖母に甘える気満々!
「この不安を受け止めて!」な勢いで話をしている訳です。
なのに、甘えの対象であるはずの祖母が私に「娘をよろしくお願いします」と、なんだか大きな頼みごとを
してきたのです。

祖母の態度が他人行儀で、距離が急に遠くなったような寂しさを感じたのと同時に、おかしな話ですが、そこで初めて「ばあちゃんは、母さんのお母さんやったんや」ということに気づきました。

それまで私は「祖母=私のおばあちゃん」「母親=私のお母さん」という側面でしか見てませんでした。

例えば母の場合。
もちろん父の妻であることも、姉の母親であることも認識はしていたのですが、私にとって大前提は「私の母親であること」。

「母親なのにこんなこともしてくれない!」
「母親のくせに間違ったことを言っている!!」
「母親なのに私を信じてくれない!!!」
母親はこうであるべきだという私独自の(しかもかなり基準は厳しい)フィルターを通して判断。
ビシバシたたき斬ってきました。

あれれ・・・
そういえばこれは、母親がよく言ったセリフと同じ。
「子供なのに親に反抗して」
「子供のくせに偉そうな口聞いて」
「子供なのに…」

言われる度に「ムキィ~(怒)!!!」とくってかかり、「そうじゃないのに!」と叫び狂いたくなるほど窮屈で、縛られているような息苦しさを感じていた。

完璧な人間なんていないのに、私は母にいつも「完璧な母親であれ」ということを押しつけていたんだな~。
それがどんなに窮屈で苦しいことか知っているくせに。

そのことに気づいてからは、ドンパチぶつかることはあっても努めて意識して、押しつけることを避けるようにしてきた。
フィルターの絞りをグワッとゆるめてみたり、違う方向から観察してみたり。

見えてきたのは、決して完璧ではない母。
抜け抜けで、変なところで気をつかったり、意外とクヨクヨしてたり・・・。
私とおんなじ。なんだ、なかなか愛苦しい。

いつの間にか「母親は完璧でなくていい」自分の中でそんな許可がおりていました。
そして私はもうかなり大人だけど、いくつになろうと母親にとっては子供なんだ。

父として母として・夫として妻として・子供として・祖父母として・・・
家族の中で、それぞれの存在であること、その距離を保つことも大切。

でも、その存在であるがために、私たちは必要以上にフィルターをキツく絞り込んで見てしまう傾向があるようです。
「こうであるべきだ」と。

だから、ふと思い出して欲しい。
家族のなかでギクシャクしたり、お互いの思いが通じなかったりしたときには、少し、もう少しそのフィルターを緩めてみよう。広げてみよう。

by exkokoro | 2011-02-09 11:03 | 家族 | Comments(0)

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