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【月をさす指】 


タイトル:カウンセリングのときに自分を支えているもの【月をさす指】
担当:舞原 惠美
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「支えてくれている」という言葉を聞くと、忘れられない大切な思い出がよみがえります。
私の原点とも言うべき体験、今日はぜひその話をお伝えしたいと思います。


小さい頃、私は理屈の好きな子供で(7月14日のコラムに書いているとおり(^_^;))
納得できないと「なんで」「どうして」と周りに聞きまくっていました。
大人たちからの
「理屈っぽい」
「素直じゃない」
「手に負えない」
「めんどうくさい」
「可愛くない」
そんな言葉が聞こえるたびに、その通りのレッテルを体中にべたべたと貼り付けて、だんだん自分の周りに垣根をつくっていきました。

けれど、一人だけ話を聞いてくれる叔父さんが居ました。
年に数回の親戚が集まる日ぐらいしか会うことのなかった叔父さんでしたが、私の「なぜ」にいつも答えようとしてくれました。その内容は実はよく分からなかったけれど、答えようとしてくれることが嬉しくて嬉しくて、その言葉ひとつひとつにじっと聞き入っていたのを覚えています。

「惠美ちゃんと話しているとおもしろい」。小学生だった私に、その叔父さんはそう言ってくれました。


どんな機会で親戚が集まったのかは忘れたけれど、ある晩夕食後、叔父さんは私を近所の池に散歩に連れ出してくれました。

「惠美ちゃん、見てみ」
そう言って叔父さんが指差した先には、半月が明るく輝いていました。

「お月さんはなあ、今は半分しか見えへんけど、ほんまは丸いやろ。
あの暗くて見えへんとこも、光が当たったら綺麗に光るやん。
ほんで丸うなったり消えそうになったり…
お月さんは、そこがええなあ」
 
「惠美ちゃんの、なんでなんで、て考えるとこ、僕は好きやな。
 大事にしいよ」

どうして叔父さんがお月さんの話をしたのか、その時はよく分かりませんでしたが、
「好き」という一言に、お腹の底が熱くなり、涙が込み上げてきてしゃっくりが止まらなくなりました。

初めて自分の事を受け入れることができたような安堵感、救われたような思い。
あの時の私は言語化する言葉を持たなかったけれど、その感覚は生涯忘れることはないでしょう。

だから、私は、「月をさす指」になりたい。


カウンセラーをしていると言うと、人の悩みを聴いてしんどくないかと聞かれることがありますが、そんなことはありません。
クライエントの方々と一緒に怒ったり泣いたり、感情の波が揺さぶられることはありますが、いつも電話の向こうにいる方の
今は光が当たっていなくて見えないけれど、そこにある力
に焦点を当て、その力を信頼して聴いているからです。

一生懸命生きているからこそ悩む、その電話の向こうの声の真摯さ、ひたむきさ、懸命さがまた私を支えてくれます。

そして、なんやかんやありながらも、最後のところで「無条件に愛すること、信頼すること、待つこと、見守ること」を教えてくれた息子。
成長をサポートしてくださる素晴らしいカウンセラーの方々。
思えば思うほど広がっていく森羅万象に支えられていることへの感謝の念。
苦しみもがいて無様な姿をさらしながら、人生と向き合ってきた自分への信頼。

いろいろなものに支えられていますが、一番強く私を支えてくれるのは
「月をさす指になるぞ」というコミットメント(強い決意)と
今ここに全力を出して生きるという一期一会の心構えです。


叔父さんは、41歳でクモ膜下出血で亡くなりました。私が中学3年の時です。
もっともっと話したかった。これから叔父さんと、ちょっと大人の話ができるかなと楽しみにしていた矢先でした。

だからこそ、生きているうちに、人生をよりよく生きたいと思っている方々のサポートを全力でしていこうと、日々決意しています。

by exkokoro | 2010-08-25 14:56 | カウンセリング | Comments(0)

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